健康保険

起業、開業したての事業は大会社が運用するような健康保険組合がありませんから、ここでは全国健康保険協会が管掌する健康保険について解説します。

事業を開始しとき健康保険の適用事業所であれば、起業・開業した日から5日以内に厚生労働大臣(年金機構)へ新規適用届を提出しなければなりません。

適用事業所

健康保険法において、適用事業所とは次のいずれかに該当する事業所をいいます。

  1. 適用業種※である事業の事業所であって、常時5人以上の従業員を使用するもの
  2. 国、地方公共団体又は法人の事業所であって、常時従業員を使用するもの

※適用業種となるのは次の業種をいいます。

  • 物の製造、加工、選別、包装、修理又は解体の事業
  • 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業
  • 鉱物の採掘又は採取の事業
  • 電気又は動力の発生、伝導又は供給の事業
  • 貨物又は旅客の運送の事業
  • 貨物積卸しの事業
  • 焼却、清掃又はとさつの事業
  • 物の販売又は配給の事業
  • 金融又は保険の事業
  • 物の保管又は賃貸の事業
  • 媒介周旋の事業
  • 集金、案内又は広告の事業
  • 教育、研究又は調査の事業
  • 疾病の治療、助産その他医療の事業
  • 通信又は報道の事業
  • 社会福祉法に定める社会福祉事業及び更生保護事業法に定める更生保護事業

逆に、非適用業種は次の業種です。

  • 農林業、水産業、畜産業等の第1次産業の業種
  • 理髪店、美容店、エステティックサロン等の理容・美容の事業
  • 映画の製作または映写、演劇、その他興行の事業
  • 旅館、料理店、飲食店等の接客娯楽の事業
  • 弁護士、弁理士、公認会計士、社会保険労務士、税理士等の法務の事業
  • 神社、寺院、教会等の宗教の事業

任意適用事業所

適用事業所以外でも所定の要件を満たせば健康保険に加入することができ、健康保険の適用を受けるようになった事業所を任意適用事業所といいます。

また、健康保険に加入する場合は、被保険者となれる者の2分の1以上の同意を得ないと厚生労働大臣に申請できません。

被保険者

健康保険法では、4つの被保険者がありますが、ここでは日雇特例被保険者、任意継続被保険者、特例退職被保険者を除いた一般の被保険者について解説します。

適用事業所の事業主が被保険者となるべき労働者を雇用したときは、その事実があった日から5日以内に健康保険被保険者資格取得届を年金機構へ提出しなければなりません。

法人の代表者

法人の代表者、監事、取締役、代表社員、無限責任社員等のいわゆる代表者又は業務執行者で法人から労働の対償として報酬を受けている者は、法人に使用される者として被保険者となります。

短時間労働者(いわゆるパート労働者)

1日又は1週間の所定労働時間及び1箇月の所定労働日数が当該事業所において同種の業務に従事する通常の就労者の所定労働時間及び所定労働日数の概ね4分の3以上であって、その者の労働日数、労働時間、就労形態、職務内容等を総合的に勘案して、常用的雇用関係が認められる場合には、原則として被保険者として取り扱われます。

適用除外(被保険者になれない労働者)

次にいずれかに該当する者は、日雇被保険者となる場合を除いて被保険者となることはできません。

  • 船員保険の被保険者(船員保険法第2条第2項に規定する疾病任意継続被保険者を除く。)
  • 臨時に使用される者であって、次に掲げるもの(1.に掲げる者にあっては1月を超え、2.に掲げる者にあっては2.に掲げる所定の期間を超え、引き続き使用されるに至った場合を除く。)
    1. 日々雇い入れられる者
    2. 2月以内の期間を定めて使用される者
  • 事業所又は事務所で所在地が一定しないものに使用される者
  • 季節的業務に使用される者(継続して4月を超えて使用されるべき場合を除く。)
  • 臨時的事業の事業所に使用される者(継続して6月を超えて使用されるべき場合を除く。)
  • 国民健康保険組合の事業所に使用される者
  • 後期高齢者医療の被保険者(高齢者の医療の確保に関する法律第50条の規定による被保険者をいう。)及び同条各号のいずれかに該当する者で同法第51条の規定により後期高齢者医療の被保険者とならないもの
  • 厚生労働大臣、健康保険組合又は共済組合の承認を受けた者(健康保険の被保険者でないことにより国民健康保険の被保険者であるべき期間に限る。)

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