保険料の納付(労働保険)
労災保険と雇用保険を総称して労働保険と言いますが、労働保険の保険関係成立届は事業が開始された日の翌日から10日以内に所轄労働基準監督署長または所轄公共職業安定所長に提出しなければなりません。
労働保険をもっと詳しく知りたい方は「労働保険料と社会保険料」をご覧ください。
保険関係の成立届
保険関係は成立届を提出したかどうかは関係なく、事業を開始したら法律上当然に(自動的に)成立します。
保険関係成立届は所轄労働基準監督署長か所轄公共職業安定所長へ提出しますが、どちらに提出するかは事業によって振り分けられます。
- 所轄労働基準監督署長へ提出すべき事業
- 一元適用事業で労働保険事務組合に事務処理を委託していないもの(雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業を除く)
- 労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち二元適用事業
- 所轄公共職業安定所長へ提出すべき事業
- 一元適用事業であって労働保険事務組合に事務処理を委託するもの
- 一元適用事業であって労働保険事務組合に事務処理を委託しないもののうち雇用保険に係る保険関係が成立する事業
- 雇用保険に係る保険関係が成立している事業のうち二元適用事業
一元適用事業と二元適用事業
労災保険と雇用保険とを一体的に取り扱う事業を一元適用事業といい、小売業や製造業など一般的な事業がこれに該当します。
対して二元適用事業とは、労災保険と雇用保険とを別個に取り扱う事業をいい、都道府県及び市町村の行う事業、都道府県に準ずるもの及び市町村に準ずるものの行う事業、港湾労働法に規定する港湾運送の行為を行う事業、農林・畜産・養蚕・水産の事業(船員が雇用される事業を除く)、建設の事業がこれに該当します。
保険料と事業主負担
労災保険の保険料率は事業の種類で分類されています。雇用保険は事業の種類に関係なく保険料率が定められています。
労災保険の保険料率と事業主負担
労災保険の保険料率は事業の種類によって1000分の2.5~1000分の88の範囲で53種類あります。
労災保険は全額事業主負担です。
雇用保険と事業主負担
雇用保険の保険料率は事業濡種類に関係なく、一般の事業では1000分の13.5、農林水産・清酒製造業では1000分の15.5、建設業では16.5(平成27年4月1日現在)となっています。
雇用保険の保険料は被保険者も負担することになっていて、事業主と被保険者の負担割合は一般の事業では8.5:5、農林水産・清酒製造業では9.5:6、建設業では10.5:6となっています。
雇用保険の免除
保険年度の初日(4月1日)に64歳以上の労働者については、労働保険のうち雇用保険の保険料が免除されます。
保険料の計算
労災保険、雇用保険ともすべての労働者に支払われる年間賃金(名称の如何を問わず労働の対償として事業主が労働者に支払うものすべて)に保険料率を乗じて保険料を算出します。
例えば、労災保険、雇用保険ともに適用事業である小売業を営む事業に雇用される年収400万円の労働者には、400万円×(0.0035+0.0135)=6万8千円の保険料が課せられ、そのうち4万8千円が事業主負担となります。
つまり、人件費を考慮するときには労働保険が上積みされることを予め計算に入れておかなければならないと言うことです。