年齢制限の禁止

雇用対策法施行規則第1条の3第2項には次のように募集・採用について年齢に関わりなく均等な機会を与えなければならないとされています。

「事業主は、雇用対策法第10条に基づいて行う労働者の募集及び採用に当たっては、事業主が当該募集及び採用に係る職務に適合する労働者を雇い入れ、かつ、労働者がその年齢にかかわりなく、その有する能力を有効に発揮することができる職業を選択することを容易にするため、当該募集及び採用に係る職務の内容、当該職務を遂行するために必要とされる労働者の適性、能力、経験、技能の程度その他の労働者が応募するに当たり求められる事項をできる限り明示するものとする。」

募集時に使って良い表現とダメないいまわし

労働者を募集する際、ある程度年齢を制限することが理にかなっている場合でも具体的な年齢を表示してはいけません。

良い表現使えない言い回し
年齢不問。重い荷物(1個25kg程度)を2tトラックで配達する業務。この業務を継続するため持久力と筋力を必要とする。40歳以下のトラックドライバー募集
年齢不問。20歳前後の若者向けアパレル販売員。当店のオリジナルブランドを着て販促もしてもらいます。若者向けアパレル販売。30歳までの方募集。

重い荷物をトラックに積んでの配達業務なので、中高年にはキツイ仕事であることは容易に推察されますが、40歳以下という年齢には制限できるだけの科学的根拠もないため、年齢を区切ることはできません。

また、20歳前後の若者が着る服を着て店頭に立つわけですから、30歳以上の人には合わないかも知れませんが、30歳以上の人でも童顔で20歳前半に見える人もいなくはありませんから、これも年齢を区切ることはできません。

いずれも、中高年でも力があり体力自慢の人であれば年齢に関係ないでしょうし、アパレルの販売員もようは見た目ですからこれも年齢は採用の根拠にはなりません。

年齢制限禁止の例外

定年年齢を下回るとき

定年を定めている場合、その定年年齢を下回ることを条件に労働者の募集・採用を行うことができます。(ただし、期間の定めのない労働契約を締結することを目的とする場合に限られます。)

表現判断
60歳未満の方を募集(定年が60歳のため)許可
60歳未満の方を募集(定年が63歳のため)定年年齢と上限年齢が一致しないため不許可
40歳以上60歳未満の方を募集(定年が60歳のため)下限年齢を設定しているため不許可
60歳未満の方を募集(契約期間6箇月)有期労働契約のため不許可

労働基準法などにより特定の年齢範囲に属する労働者の就業が禁止または制限されているとき

労働基準法第62条の危険有害業務では18歳未満の労働者は就業させていけないため、18歳以上の下限年齢を設定しなくてはならないなどがある。

合理的な制限であると判断されるとき

長期勤続によるキャリア形成を目的として、若年労働者等を募集・採用する場合

ただし、期間の定めのない労働契約を締結することを目的とする場合に限り、かつ、その労働者が職業に従事した経験があることを求人の条件としない場合であって、新卒者としてまたは新卒者と同等の処遇で募集・採用を行うときに限ります。

表現判断
25歳未満の方募集(経験不問、新卒者と同等の処遇)OK
25歳以下の方募集(簿記2級、新卒者と同等の処遇)資格が条件となっているが実務経験を問うてないためOK
40歳未満の方募集(営業経験3年以上)職務経験を条件にしているためNG
特定の年齢層が他の年齢層に比べて一定以上少ないとき
特定労働者

30歳から49歳までのうち、5歳から10歳までの特定の年齢幅(左図の例では赤い部分30歳~39歳)の年齢層に属する労働者数(左図の例では4人)が同じ年齢幅の上下年齢層に属する労働者数(左図の例では8人と9人)と比較して2分の1以下である場合、その業務の遂行に必要な技能や知識の継承を図ることを目的として特定年齢範囲の労働者を募集・採用することができます。

芸術、芸能分野で特定年齢範囲の労働者を募集・採用するとき

表現の真実性等を確保するために特定の年齢の範囲に属する労働者の募集・採用(例えば、子役が必要なため12歳以下の方募集)が認められています。

特定年齢以上の高年齢者を募集・採用するとき

高年齢者の雇用促進を目的として、60歳以上の高年齢者を募集・採用する、または特定の年齢範囲に属する労働者の雇用を促進するため募集・採用することができます。ただし、特定の年齢範囲に属する労働者の雇用の促進に係る国の施策(トライアル雇用制度)を活用する場合に限られます。

  1. 45歳以上の中高年齢者(原則として雇用保険受給資格者又は被保険者資格の喪失日の前日から起算して1年前の日から当該喪失日までの間に被保険者であった期間が6か月以上あった者)
  2. 40歳未満の若年者等
  3. 母子家庭の母等
  4. 季節労働者(厚生労働大臣が指定する地域・業種に従事する者であって、各年度の10月1日以降に特例受給資格者として離職した65歳未満の者)
  5. 中国残留邦人等永住帰国者
  6. 障害者
  7. 日雇労働者・住居喪失不安定就労者・ホームレス

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