契約期間
労働者と締結する労働契約で、契約期間については大きく分けると期間の定めをしない契約と有期契約があります。正社員を募集し契約する場合は、期間の定めのない契約をすることが多いでしょう。また、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもの(建築、土木など)を除いて労働契約は3年(次に定めるものは5年)を超えて締結してはいけません。
- 専門的な知識、技術又は経験であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する者
- 博士の学位(外国において授与されたこれに該当する学位を含む。)を有する者
- 次の資格を有する者(公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士、税理士、薬剤師、社会保険労務士、不動産鑑定士、技術士、弁理士
- 情報処理の促進に関する法律第7条に規定する情報処理技術者試験の区分のうちシステムアナリスト試験に合格した者又はアクチュアリーに関する資格試験(保険業法第122条の2第2項の規定により指定された法人が行う保険数理及び年金数理に関する試験をいう。)に合格した者
- 特許法第2条第2項に規定する特許発明の発明者、意匠法第2条第2項に規定する登録意匠を創作した者又は種苗法第20条第1項に規定する登録品種を育成した者
- 次のいずれかに該当する者であって、労働契約の期間中に支払われることが確実に見込まれる賃金の額を1年当たりの額に換算した額が1,075万円を下回らないもの
- 農林水産業若しくは鉱工業の科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)若しくは機械、電気、土木若しくは建築に関する科学技術に関する専門的応用能力を必要とする事項についての計画、設計、分析、試験若しくは評価の業務に就こうとする者、情報処理システム(電子計算機を使用して行う情報処理を目的として複数の要素が組み合わされた体系であってプログラムの設計の基本となるものをいう。ロにおいて同じ。)の分析若しくは設計の業務(ロにおいて「システムエンジニアの業務」という。)に就こうとする者又は衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務に就こうとする者であって、次のいずれかに該当するもの
- 学校教育法による大学(短期大学を除く。)において就こうとする業務に関する学科を修めて卒業した者(昭和二十八年文部省告示第五号に規定する者であって、就こうとする業務に関する学科を修めた者を含む。)であって、就こうとする業務に5年以上従事した経験を有するもの
- 学校教育法による短期大学又は高等専門学校において就こうとする業務に関する学科を修めて卒業した者であって、就こうとする業務に6年以上従事した経験を有するもの
- 学校教育法による高等学校において就こうとする業務に関する学科を修めて卒業した者であって、就こうとする業務に7年以上従事した経験を有するもの
- 事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握又はそれを活用するための方法に関する考案若しくは助言の業務に就こうとする者であって、システムエンジニアの業務に5年以上従事した経験を有するもの
- 農林水産業若しくは鉱工業の科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)若しくは機械、電気、土木若しくは建築に関する科学技術に関する専門的応用能力を必要とする事項についての計画、設計、分析、試験若しくは評価の業務に就こうとする者、情報処理システム(電子計算機を使用して行う情報処理を目的として複数の要素が組み合わされた体系であってプログラムの設計の基本となるものをいう。ロにおいて同じ。)の分析若しくは設計の業務(ロにおいて「システムエンジニアの業務」という。)に就こうとする者又は衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務に就こうとする者であって、次のいずれかに該当するもの
- 国、地方公共団体、一般社団法人又は一般財団法人その他これらに準ずるものによりその有する知識、技術又は経験が優れたものであると認定されている者(前各号に掲げる者に準ずる者として厚生労働省労働基準局長が認める者に限る。)
期間の定めをしない契約
期間を定めずに契約する場合でも、期間の定めをしない旨明記しなければなりません。
期間の定めをする契約
期間を定めて契約する場合には幾つか注意しなければなりません。厚生労働省から、有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準が示されています。
- 使用者は、期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という)の締結に際し、労働者に対して、当該契約の期間の満了後における当該契約に係る更新の有無を明示しなければならない。
- 1の場合において、使用者が当該契約を更新する場合がある旨明示したときは、使用者は、労働者に対して当該契約を更新する場合又は更新しない場合の判断の基準を明示しなければならない。
- 使用者は、有期労働契約の締結後に1および2の事項に関して変更する場合には、当該契約を締結した労働者に対して、速やかにその内容を明示しなければならない。
- 使用者は、有期労働契約(当該契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く)を更新しないこととしようとする場合には、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない。
- 4の場合において、使用者は、労働者が更新しないこととする理由について証明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。
- 有期労働契約(当該契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く)が更新されなかった場合において、使用者は、労働者が更新しなかった理由について証明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。
- 使用者は、有期労働契約(当該契約を1回以上更新し、かつ、雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限る)を更新しようとする場合においては、当該契約の実態及び当該労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければならない。
さらに、労働契約法では次のように定められています。
- 使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。
- 使用者は、期間の定めのある労働契約について、その労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない
このように期間を定めて雇用する場合は、その労働者に対して十分な説明と配慮が必要となってきます。これを怠ると問題が生じる可能性が高くなり、労働者から訴えられて裁判という事態になりかねません。