パートタイム労働者の雇用管理

パートタイム労働者が雇用の中核を担っていることに違いなく、起業や開業したばかりだとパート労働者に頼るところが大きいと思います。しかし、注意しなければならないのは、使い勝手の良い労働者だからといって事業主の都合ばかりを押しつけることはできないということです。

パート労働者を雇用するときの注意事項を解説します。

パートタイム労働者の定義

法律的には短時間労働者と表され、1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間と比較して短い労働者をいいます。

わずかでも短ければこの短時間労働者に該当し、例えば通常の労働者の所定労働時間と比べて1割以上短くなければならないといった基準があるわけではありません。また、月給制だから通常の労働者、時間給制だからパートタイム労働者であるという、賃金形態で分類されることでもありません。

契約時の明示事項

使用者は、パート労働者と労働契約を締結するとき労働基準法で定められた絶対的明示事項(昇給を除く)を書面で交付するのはもちろんですが、パート労働法では昇給の有無、退職手当の有無、賞与の有無の3点についても書面で明示しなければなりません。

労働基準法で定められた明示事項を書面交付しなかった場合、30万円以下の罰金に処せられ、パート労働法で定められた明示事項を書面交付しなかった場合は10万円以下の過料が科せられます。

通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止

使用者は、次の3つの要件を満たす短時間労働者(通常の労働者と同視すべき短時間労働者といいます)については、短時間労働者という理由で賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について差別的取扱いをすることは禁じられています。

  1. 職務の内容(業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度)が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一の短時間労働者
  2. 当該事業主と期間の定めのない労働契約(反復して更新されることによって期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当と認められる期間の定めのある労働契約を含む)を締結している短時間労働者
  3. 当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれる短時間労働者

上記の条件を満たす短時間労働者に対しては、通常の労働者と同等の内容の労働契約を締結しなければなりません。

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